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原色 貝・化石図鑑


by kasekizukan

シラハマホタテ

今から20年ちかく前になるが、当時まったく知識のなかった私は、ここでは主にサメの歯の化石を探していた、本当に無知だったのである。豊富な貝化石にほとんど目もくれず、ひたすらフルイを使い、ツンツルテンのメジロを一本だけゲットした。あまりにもサメが見つからなかったため、改めて貝を採集することにしたのだが、これがシラハマホタテとは知らずに、当時たんなるエゾエンシスと思いこんでいた。
シラハマホタテ_c0204682_22452843.jpg

 確かに、今思えばこの産地では殻高10cmを超えるサイズのホタテは皆無であった。コシバも小さく、わずか2cm程度のもの、ホクリクは5cm程度と、イタヤガイ類としては他の産地と比較して極端に小さなものばかりであったような気がする。掛川と竜ノ口との移行帯に生息したと考えられているようだが、ここからは二次的なものと思われる。巨大オウナガイの両殻やオオツキガイモドキの両殻を確認した。ただどちらも割れた破片だったため、採集はしなかったのだが、両者とも状態はコンクリーションであった。また、信じてもらえないかもしれないが、ここからは深海種のキヌジサメザンショウの完品も採集できた。今調べれば、もっと多くのことが分かったかもしれない。しかし、今やこの場所は常磐道広野ICの出入り口となり、かつての面影はどこにない。なぜあの時、サメなどよりももっと貝に集中して採集しなかったのかと後悔の日々である。今となってはすべて後の祭りだが。
 
by kasekizukan | 2009-10-02 23:01 | 貝化石